ギリシャ歌謡でこの風通しの良さは、得難い味じゃないですかね。
従来の伝統的なライカとなんら変わらないスタイルなのに、すごく軽やかで、
サッパリとした後味に、新時代を感じさせる人じゃないですか。
それなりのキャリアがありそうなルックスの女性歌手なんですが、
過去作やバイオ情報が見つからなくて、どういう人なんだろう。
いろいろ調べてみたら、この人、ギリシャ人じゃなくて、キプロスの人なんですね。
レメソス生まれだそうで、ギリシャ系キプロス人のようです。
キプロス出身というと、ミハリス・ハジヤニスのように
キプロス人ライカ歌手も大勢いるようです。
フリスティアナ・パヴロウもその一人のようですが、詳しいことはよくわからず。
クセのない美声で、こぶし使いも控え目。
けっして重々しくなることのない歌声で、
気品のある滋味な味わいに引き込まれます。
ブズーキを中心とする弦楽アンサンブルに、
アコーディオンやピアノを加えた生音重視のサウンドが爽やかで、
哀歓のこもった楽曲を美しく引き立てています。
真夏にギリシャ歌謡を聴くというのも、
ぼくの場合、あまりないことなんですけれど、
フリスティアナの歌声が運んでくる涼風に、酷暑の熱を冷やしてもらっています。
Hristiana Pavlou "STON TRAGOUDION TIS THALASSES" Metronomos METR100 (2019)