ジャケ買いです。
縮れ毛で顔は隠れていても、チャーミングな表情に、一目惚れしちゃいました。
ぼくには初めての人で、すでにこれが3作目という、
ロンドンのシンガー・ソングライターとのこと。
お持ち帰りして、ファクトリー・シールをはがすと、見開きジャケットの内側には、
いかにもロンドンらしい風景をバックにした、モノクロームの写真が2枚。
エキゾティックな顔立ちで、めっちゃキュートな女性じゃないですか。
おとうさんはギリシャ人、おかあさんはジャマイカ人だそうで、
リンダ・ルイスみたいなポジショニングのシンガーでしょうか。
物憂げにつぶやくような歌い出しに、ムードのある歌声だなと思わせるんですが、
感情の高まりとともに、声量をたっぷりに、パンチのある声も繰り出せる人です。
振れ幅の大きな表現力を持っているんですけれど、
曲の流れのなかで、それがとても自然に移ろっていくので、
「歌い上げる」といった印象を与えないところが、ミソ。
のびやかで、ドラマのある歌を歌える人ですね。
ジャケットの粗い粒子のモノクロームが、音楽のマチエールをよく表しています。
ギターやベースの手弾き感やシンバルの響きがライヴ感たっぷりで、
ざっくりとした粗い音づくりに、ミックスの手腕を感じます。
ギターはリアン自身が弾いているんですね。
アルペジオやコード・バッキングのギター・ワークを聴いていると、
フィル・アップチャーチとかアーサー・アダムスといった
往年の歌伴の職人芸を思わせ、感心させられました。
ソングライティングも巧みで、5拍子のラスト・トラックなんて、
変拍子好きにはココロくすぐられます。
13年に来日して‘Tokyo’ なんて曲を作っていたり、東京で撮ったMVがあったり、
プリンスとも共演していたなんてエピソードも、いまごろようやく知りました。
17年にも来たそうなので、また観ることもできるかな。
その時を楽しみに待ちましょう。
Lianne La Havas "LIANNE LA HAVAS" Warner 0190295254889 (2020)