ハイライフ+タウンシップ・ジャイヴ ダイトマイト・スターライト・バンド
ジール・オニイアのアルバムがタバンシから出ていたなんて、意外も意外。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2019-07-08 というのは、タバンシといえば、凡庸なアフロ・ポップやディスコものの レーベルというイメージが、あまりにも強かったから。 80年代半ばのサニー・アデ・ブームで、日本にナイジェリア盤が大量に入ってきた折に、...
View Articleフレッシュなサンバ クラウジオ・ジョルジ
うわー、実にクラウジオ・ジョルジらしいというか、 クラウジオ・ジョルジにしか作れないサンバ・アルバムですね。 80年にオデオンからデビューした時は、 メロウなMPB系サンバで登場したクラウジオ・ジョルジでしたけれど、 ソロ・デビュー前は、ネイ・ロペスやルイス・カルロス・ダ・ヴィラなど 伝統系サンビスタのプロデュースを手掛けていただけに、意外に思ったものでした。...
View Articleヒップホップに娘を思う 泉まくら
この人に興味を持ったのは、15年の『愛ならば知っている』のジャケットがきっかけ。 大島智子のアートワークが、下の娘とオーヴァーラップして、妙に心にひっかかりました。 どんな人なのかとチェックしてみると、 「普通の女の子が半径数メートルで起こったことを リリックにしたゆるふわラップ」とのこと。 聴いてみると、時にメロディを歌うパートもあるものの、...
View Article70年代クロスオーヴァー+ドラムンベース レベッカ・ナッシュ&アトラス
レザヴォアを愛聴しているところに、また嬉しいジャズ新作が届きました。 今度は話題の南ロンドンから登場した新グループ。 ブリストル育ちのピアニスト、レベッカ・ナッシュが率いるアトラスのデビュー作です。 きらきらとした鍵盤のネオ・ソウル的な音感で誘いながら、 やがてうねるようなドラミングによって、雄大なサウンドスケープを生み出していく アンサンブルが聴きもののグループですね。...
View Article西洋人を前にした初ライヴ・パフォーマンス ヌスラット・ファテ・アリー・ハーン
ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンを知ったのは、 82年の2枚組LP“MUSIC AND RHYTHM” に収録された1曲がきっかけでした。 このレコードは、ブルンディ・ドラムに始まり、 ホルガー・シューカイの‘Persian Love’ で締めくくられる、 伝統音楽から最新のポップ音楽まで21組のアーティストを収録したコンピレーション。...
View Articleグラミー受賞後の自負作 ボビー・ラッシュ
ボビー・ラッシュがまさかグラミーを獲るとは、思いもよらなかったなあ。 前作“PORCUPINE MEAT” が、 16年の最優秀トラディショナル・ブルース・アルバムに輝いたのには、びっくり仰天。 芸能ニュースにさしたる関心のない当方とはいえ、 半世紀近くチタリン・サーキットのショウ・ビジネスで渡り歩いてきた、 ラッシュのような苦労人に光を当てるとは、グラミーもまんざらじゃないですね。...
View Article不変のレディ・ソウル アンジー・ストーン
そう、この声、ですよ。 アンジー・ストーンの魅力といえば、やっぱり苦みのあるこの声。 いい声ですよねえ、安心して身を委ねられます。 そして、たぐいまれなる才能を感じさせるのが、ディクションの良さ。 言葉を自在にリズムへ乗せていくスキルは、 デビュー当初から変わらぬ、アンジー独特のセンスを感じさせます。 そのマナーは、ブラック・ミュージックとしてのソウルを 体現したオーセンティックなもので、...
View Article自由な流歌〜沖縄俗謡 嘉手苅林昌
本土復帰前にあたる60年代の嘉手苅林昌は、やっぱり格別ですねえ。 アカバナーから出たマルテル音源の編集盤を聴いて、 何十年ぶりで嘉手苅熱が再燃しちゃいました。 マルテルに残されたシングル録音は、 これまでにもいくつかのコンピレでCD化されてきたとはいえ、 18曲もまとめて復刻されたのは、これが初。 カデカル節とじっくりと向き合うには、格好のアルバムといえます。...
View Article4声が生み出すモアレ マレウレウ
マレウレウの新作がいい! 12年の前作『もっといて、ひっそりね。』は、ちょっとがっかりだったんですよね。 マレウレウのメンバー4人による無伴奏歌では、 マジカルなポリフォニーを堪能できるのに、 バンド・アンサンブルが付いたとたん、4人の声が<きれいに>整理されてしまって、 ポリフォニックなマジックが消えちゃうんですよ。 う~ん、なんで、こんなふうにしちゃうのかなあ。...
View Article泣きのエチオピア歌謡アルバム アスター・アウェケ
エチオピア歌謡のヴェテラン女性歌手、アスター・アウェケの新作です。 前作から6年ぶりと、ずいぶん長いインターヴァルになりましたが、 今作はポップな前作“EWEDIHALEHU” とはガラリ変わって、 じっくりと歌ったシブいアルバムになりましたよ。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-11-30...
View Articleアンゴラから登場したジャズ新世代シンガー・ソングライター アナベラ・アヤ
アンゴラの新人女性シンガー・ソングライターのデビュー作。 アンゴラとはいえ、センバやキゾンバではなく、 アフロ・ジャズのシンガーというところが、新味の人であります。 アナベラ・アヤは83年ルアンダの生まれ。 5歳の時から教会で歌い始め、将来歌手になることを夢見ていたそうですけれど、 俳優としての才能を見出されて劇団に加入し、 舞台女優として15年のキャリアを積んだという人。...
View Articleアルジェリアのうた フリア・アイシ
フリア・アイシは、アルジェリアのベルベル系先住民シャウイの音楽を教えてくれた恩人。 アルジェリア北東部オーレス山地に暮らすシャウイ人の伝統音楽を現代化した 08年の“CAVALIERS DE L'AURÈS” には、夢中にさせられました。 モダン化したサウンドよりも、フリアの凛とした歌声に胸を打たれ、 シャウイの伝承歌が持つ、雄大なサウンドスケープに魅せられたんですね。...
View Article原石の輝き ナハワ・ドゥンビア
おぉー、ナハワ・ドゥンビアのデビュー作がCD化された! オウサム・テープス・フロム・アフリカを主宰するブライアン・シンコヴィッツが レーベル第1弾に選んだのも、ナハワ・ドゥンビアでしたよね。 あの時復刻したのは、82年の3作目の方。 なんでデビュー作じゃなくて3作目なんだよと、当時そのセレクトに不満ぷんぷんでした。 マリ、ワスル出身の女性歌手、ナハワ・ドゥンビアがアルバム・デビューしたのは、...
View Articleチルでスウィートなシャングリ=ラ ムーンチャイルド
オープニング早々から、アンバー・ナヴランのタメ息ヴォーカルに導かれて、 一気にムーンチャイルド・ワールドへいざなわれるこの快楽。 前作“VOYAGER” でトリコとなり、ライヴも観て、すっかり彼らの大ファンとなりました。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22 4作目を数えるムーンチャイルドの新作は、...
View Articleグライム世代の南ロンドン・ジャズ アシュリー・ヘンリー
南ロンドン、なんかもうスゴすぎる。 才能ある音楽家が、次から次へとわいてくるかのように登場しますね。 91年生まれというアシュリー・ヘンリー、 すでに先行EPの2枚で話題となっているピアニストですけれど、 最新作のフル・アルバムを聴いて、その才能に脱帽しました。 ジャズをベースとしながら、ヒップホップ、R&B、ブロークンビーツ、 ベース・ミュージックを横断するその自在ぶり。...
View Article浪曲河内音頭の至芸 日乃出家小源丸
日乃出家小源丸といえば、 河内音頭界のレジェンドと呼ぶにふさわしい、現役最高峰の音頭取り。 その日乃出家小源丸が生誕80周年を記念して、 浅草木馬亭で記念公演を開くというので、妻を誘い行ってきました。 河内音頭は、基本ダンス・ミュージックなんだから、櫓のまわりで踊ってなんぼ。 ♪イヤコラセ~ ドッコイセ♪とばかり、踊りに夢中になってしまうと、...
View Article即興が繋ぐ原始と現代 ネルソン・ド・ラベッカ
ノルデスチのギラギラとした太陽を思わせる、野性的なヴァイオリンの響き。 ブラジル北東部、セルトーンの乾燥地帯の灼けつく大地を思わす ラベッカの荒ぶった音色は、壊滅的な旱魃を引き起こす 厳しい風土によって、鍛えられたのでしょうか。 そう思わずにはおれない、「ぎこぎこフィドル」のラベッカ。 ストラディヴァリウスがどうのこうの言う、 クラシックのヴァイオリニストを即死させることウケアイの、...
View Articleアルバニアのポップ・フォーク ポニー
アルバニアのポップ・フォークというのは、初体験ですね。 当地で人気女性歌手だという、ポニーの最新作です。 ブルガリアのチャルガや、セルビアのターボ・フォークに似たサウンドを基調としながら、 バルカンばかりでなく、トルコやギリシャのポップスからの影響もうかがわせる 多様な音楽性を聴きとることができます。 これがアルバニアのポップスの特徴なのでしょうか。...
View Article20代のエスマ・レジェポーヴァ
エスマといえば、ジプシー歌謡の女王としてバルカンはおろか、 全世界にその名をとどろかせた大御所。01年には来日もしましたね。 2000年代以降の世界的な活躍によって、ぼくもエスマを知ったクチですけれど、 若い頃の録音というのは、そういえば聴いたことがありませんでした。 本作は、エスマがまだ20代前半という、60年代のシングル盤を編集した2枚組です。...
View Articleモノマネなんかいらない クティマンゴーズ
デンマークのアフロ・ジャズ・バンド、クティマンゴーズの3作目となる新作です。 ブルキナ・ファソ人歌手をフロントに立てた過去2作も良かったけれど、 白人メンバー6人のみで、アフリカ音楽のリズム探究を深めた本作、 会心の出来じゃないですか。 ぼくがクティマンゴーズを買っているのは、アフリカ音楽のモノマネに終わっていないから。 逆に、ぼくがあまたあるアフロビートそっくりさんバンドを評価しないのは、...
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