コモロの汎インド洋ポップス サリム・アリ・アミール
70年代ターラブ懐メロ集を制作した、 サリム・アリ・アミールのソロ・アルバムも入手できました。 62年生まれのサリム・アリ・アミールは、 コーラン学校にいた7歳の頃からカシーダを結婚式で歌い始め、 首都モロニのさまざまなイスラームの祭儀で引っ張りだことなり、 ラジオ・コモロで毎朝サリムの歌声が流れる国民的歌手となった人です。 83年にフランスの音楽賞を受賞してヨーロッパ・ツアーを行い、...
View Articleインド洋と東アフリカ沿岸の文化混淆音楽 ボイナ・リジキ&スビ
サリム・アリ・アミールのアルバムにフィーチャーされていたスビは、 ボイナ・リジキとのコンビで知られている人。 このコンビのアルバムでは、ターラブ研究で有名な民族音楽学者の ウェルナー・グレブナーが制作したドイツのディジム盤がありましたけれど、 スタジオ1からもCDを出していたんですね。 マダガスカルのマルヴァニと同じ起源の箱琴ンゼンゼを弾くスビと、...
View Articleティーラシンになったキンポーパンチ
年明け1月21日、キンポーパンチのフェイスブックの写真に驚愕! なんと! ロング・ヘアをばっさりと剃髪してしまっているじゃないですか!! えぇ~、キンポー、出家しちゃったんですか !? ピンク色の袈裟にオレンジ色の帯を肩にかけて托鉢する写真や、 僧院で修行している様子、食事をとっている写真などが多数アップされていて、 キンポー、すごく満ち足りた表情をしています。...
View Article花開いたヘイシャン=アメリカン・シンガーソングライター レイラ・マキャーラ
レイラ・マキャーラの3作目となる新作、 音楽性がぐ~んと拡張した、素晴らしい作品になりましたよ。 ラングストン・ヒューズと自身のルーツのハイチ音楽を結び付けたデビュー作に、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2014-04-23 フレンチ・クレオールのルーツをさらに深めていったセカンド作と...
View Article人力演奏で再現した80年代ポップ・ライ ナディム
ひさしぶりにイキのいいライを聞けました。 生のドラムスにダルブッカが重量感のあるロック・ビートを叩き出すんですけれど、 いやぁ、痛快ですねえ。 マイナー・レーベルのローカル作品は打ち込みに頼るのが一般的なので、 こんなに生演奏を全面に押し出したライは、長年聴いていなかった気がします。 レイヤーされたシンセの合間を縫うように、 エレクトリック・ギターとガスパ(葦笛)が存分に暴れ回っていますよ。...
View Article知られざるチリの都市大衆歌謡
SP時代のチリ音楽を編集した2枚組CDですって? 「1927年から1957年」とあるので、 第二次世界大戦をはさんだ前後30年間の録音ということになります。 へぇ~、そんな時代の音源なんて、聴いたことがありませんねえ。 だいたいチリの音楽じたい、ビオレッタ・パラが歌った民謡とか、 クエッカやトナーダといったフォルクローレのレコードくらいしか...
View Article魅惑の60年代南ヴェトナム歌謡
オールド・デイズな演出を施したジャケット写真に、 古いヴェトナム歌謡をリヴァイヴァルした企画アルバムと思いきや、 まさしく50年代後半から60年代初め頃とおぼしき音楽が流れてきて、驚愕! 新作ではなくて、デッドストックだった古い1枚で、 印刷の感じからして、90年代のアメリカ製と思われるCDです。 内容は、全世界的なロック流行前の、都市の紳士淑女のための大衆歌謡。...
View Articleコモロのモダン・ターラブ サリム・アリ・アミール
30年のキャリアをほこるコモロ音楽のフィクサー、 サリム・アリ・アミールの新作が届きました。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-07 哲学者のような顔立ちと、瞑想するが如く 静かに目を閉じているポートレイトは、風格を感じさせるもので、 深みのある色合いと相まって、いいジャケットだなあと、しばし眺めてしまいました。 本作で12作目となる新作、...
View Articleシャッフル・ブギーからスカへの道のり プリンス・バスター
う~ん、この時代のスカは、やっぱサイコーですね! スカ誕生期に活躍した名プロデューサー、 プリンス・バスターの仕事をセレクトしたコンピレーション。 未発表曲/テイクだけでたっぷり11トラックも収録した、 貴重なリイシュー・アルバムなんですが、マニア向けの編集とはなっておらず、 プリンス・バスターがいかに重要人物だったかを浮き彫りにした名編集盤です。...
View Articleカーボ・ヴェルデ移民の若者たちが再発見した伝統フナナー
ヴィック・ソーホニーが主宰するオスティナートから、 伝統フナナーの編集盤が登場しました。 これまでオスティナートが復刻してきたのは、 エレクトリック化したポップ・フナナーでしたけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-09-08 今回はアコーディオン(ガイタ)と金属製ギロ(フェロー、またはフェリーニョ)に、 ベース、ドラムスのリズム・セクションを加えた...
View Article伝統フナナーを再興した知られざる立役者 シャンド・グラシオーザ
オスティナートがまとめた伝統フナナーのコンピレをきっかけに、 フナナー周辺をいろいろチェックしてみたところ、 かつてフェロー・ガイタを結成したシャンド・グラシオーザが 新作を出しているのに気付きました。 シャンド・グラシオーザは、伝統フナナー再発見のキー・パーソン。 フェロー・ガイタを結成したばかりでなく、 サンティアーゴ島の老アコーディオン奏者ビトーリを発見し、...
View Articleビルマ映画黄金時代を飾る名優の歌 ウィンウー
60~70年代に映画俳優として活躍し、のちに監督も務めるまでになった ウィンウー(本名ラミン、1935-1988)は、ミャンマー映画界の重要人物。 67年と70年にミャンマーのアカデミー賞を2度受賞していて、 出演した映画の挿入歌はもちろんのこと、歌手としても活躍したほか、 脚本も31本書き、ビルマ時代の大衆芸能に大きな足跡を残した人だったのですね。 往年の映画シーンはYouTube...
View Articleクラブ・ミュージックからジャズへ モーゼズ・ボイド
モーゼズ・ボイドがエクソダス名義で18年に出した“DISPLACED DIASPORA” の記事で 「すでにボイドはここから一歩も二歩も歩みを進めているはず」と書きましたけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-12-10 まさにそれを証明する新作が届きました。 重くもたったビートを繰り出す生ドラムスと、打ち込みを並走させた...
View Articleネオ・ソウル・ジャズの俊英 ジョー・アーモン=ジョーンズ
モーゼズ・ボイドの新作で、まっさきにクレジットの名前を探したのが、 鍵盤奏者のジョー・アーモン=ジョーンズでした。 ‘2 Far Gone’ でのプレイに、おぉ!と引き込まれたからです。 ジョー・アーモン=ジョーンズと知って、なるほどとナットク。 多彩な才能を次々と輩出している南ロンドンのジャズ・シーンで、 アシュリー・ヘンリーやカマール・ウィリアムズなどとともに、...
View Articleミドルティーンのジャマイカン・ジャズが出発点 モンティ・アレキサンダー
その昔、ジャズ・ピアニストのモンティ・アレキサンダーがレゲエを取り上げるのを、 鼻白む思いで見ていた時期がありました。 いくらモンティがジャマイカ生まれとはいえ、 裕福な家庭に育ったお坊ちゃま君のモンティが、 まるっきり境遇の異なる貧しい若者たちが生み出したレゲエを、 かすめ取ってるように見えたからなんですけれども。 そんな見方が変わったのは、モンティが17歳で渡米する前、...
View Article音数を減らして魅力増 カロル・パネジ
イチベレ・ズヴァルギのグループに13年間在籍した マルチ・プレイヤーのカロル・パネジの新作が、 注目のジャズ・レーベル、ブリックストリームから出ました。 ヴァイオリン、フリューゲルホーン、ピアノに加え、ポエトリー・リーディングや ヴォイス・パフォーマンスも行うカロル・バネジは、18年にデビュー作を出したばかり。 そのデビュー作では、イチベレ・ズヴァルギのもとで身に付けた...
View Articleエチオピアン・コンテンポラリー・フォークロア ミキヤス・チェルネット
全14曲77分超って、どんだけ詰め込めば気が済むのかという感じですけど、 この長さを飽きさせず聞かせる実力は大したものです。 またも知らないエチオピアの若手男性シンガーのアルバム。 ミキヤス・チェルネットと読むんでしょうか。 YouTube をチェックすると、2010年代に入ってから出てきた人みたいです。 新作の1曲目がレゲエだったので、レゲエ・シンガーかと思いきや、さにあらず。...
View Article品質保証100%のフジ スレイモン・アラオ・アデクンレ・マライカ
う~ん、絶好調だな、スレイモン。 もう今のフジは、この人だけ追っかけてれば、それで十分かなあ。 出る新作がどれもツブ揃いで、ハズレなしなんだから、 この品質保証ぶりは、フジ諸先輩たちの作品をはるかにしのいでいますよ。 20世紀に入ってからのフジは、粗製乱造がひどくなる一方で、 ワシウ・アラビ・パスマやサヒード・オスパといった人気シンガーの作品でさえ、...
View Articleトルコ古典声楽の100年 ディレク・チュルカン
ひさしぶりに素晴らしいトルコ古典歌謡を堪能しました。 いにしえの古典歌謡を現代に再現する歌手、ディレク・チュルカンの新作です。 ディレク・チュルカンは、カランのスタジオ・ミュージシャンが結集して トルコの伝統歌謡を演奏するインストゥルメンタル楽団、インジェサスの 看板歌手として活躍した女性歌手。11年にカランからソロ・デビューすると、 13年にはインジェサスを脱退してソロ活動に専念。...
View Articleレバノン発シンセ・ポップ イーサン・アル・ムンジール
ビキニの女のコ(白人)が、浜辺でギターを手におどけたポーズをとるジャケット。 南米コロンビアあたりのレコードかと思いきや、 これがアラブのレコードだというのだから、オドロキ。 「ベリー・ダンス・ディスコ」なんてタイトルが、これまたパチもん臭い。 いかにもモンド盤(もう死語か?)くさいルックスなんだけど、 何か呼ばれるものがあってサンプルを聴いてみたら、これがなかなか面白い。...
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