マヌカン、怒る インナ・モジャ
マリ、バマコ生まれのインナ・モジャは、フランスのファッション界で活躍するマヌカン。 “French Cancan” の世界的ヒットで、顔と名前は知ってましたけど、 その後聞いた10年のデビュー作が、セレブの道楽芸みたいな凡庸ポップスで、幻滅。 マリ人といっても、アフリカン・ポップスとは無縁の人と思っていたら、 3作目の新作のジャケットは、故国マリが舞台となっていて、...
View Articleアヴァン・フュージョン・ギター・トリオ ファビュラス・オーストリアン・トリオ
真冬の定盤、スティーヴ・カーンの“CROSSING” を今年もまた聴き返しているんですが、 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-01-21 アイウィットネス時代のスティーヴ・カーンのファンなら、 おぉ、これは……と、頬を緩めることウケアイの快作と出会いました。 ファビュラス・オーストリアン・トリオを名乗る、オーストリアの3人組です。...
View Article最終作とは言わせない ジョージー・フェイム
ジョージー・フェイムといえば、最近アンソロジー・ボックスが出て、気もそぞろになったばかり。 買おーかなー、どーしよかなー、と悩んだんですけど、 こういう悩み方をしてる時って、たぶん買わないんだよな、自分。 本当に欲しけりゃ、四の五の言わず、ソッコー買ってるもんねえ。 というわけで、ボックスよりまず先に買わなきゃだったのが、13年に出ていた新作。 ミュージック・マガジン1月号の輸入盤紹介に載るまで、...
View Article頑固一徹ジャズ・ロック爺 ブライアン・オーガー
じじい、元気だなー。 ジョージー・フェイムつながりってワケじゃないんですけれど、 イギリスのジャズ・ロックの大ヴェテラン、ブライアン・オーガーの新作を聴いてみたら、 これがゴッキゲン! グルーヴィなサウンドに、ノケぞっちゃいました。 おいおい、オーガーって、もう70代半ばだよねえ。どーなってんのよ、このお盛んぶりは。 ジミー・スミスに感化された庶民的なジャズは、...
View Articleフランス領ガイアナのクレオール・ポップ ルッシ
どっかーーーーん。 ド迫力な黒人女性マスクに、たじたじ。 その昔アフロ・ブラジリアン宗教音楽/サンバ女性歌手アパレシーダのシッド盤LPを 手にした時のことを思い出しました。 ドロドロのマクンバかヴードゥーでも出てきそうな 表紙にビビっていたら、 ヴィデオ・クリップでは、 ニコニコと愛嬌たっぷりに歌っていて、 シロウトに毛が生えた素朴な歌い口は、 なかなか愛らしいところもあります。...
View Article芸能サンバを支えた街角のショローンたち アラシ・コルテス
書店で見つけた『ショーロはこうして誕生した』という新刊書。 ついに日本でもショーロの本が出るようになったのかと、じ~んとなっちゃいました。 ブラジルで出版された本の日本語訳で、 題名の上に書かれた“O Chôro” の文字にピンときましたよ。 これって、去年ブラジルのアカリ・レコードが復刻した本なんじゃないの? 本をめくり、訳者あとがきをみてみたら、ピンポ~ン♪...
View Article古典サンバ最高の男性歌手 マリオ・レイス
アラシ・コルテスをひさしぶりに聴き返したら、 古典サンバをもっと聴きたくなっちゃいました。 戦前のサンバ黄金時代の男性歌手で、ぼくが一番好きなのはマリオ・レイス。 当時の大スターのフランシスコ・アルヴィスとともに、人気を二分した歌手です。 フランシスコ・アルヴィスが声を張って歌う、 どちらかといえば劇場向きの古いタイプの歌手だったのに対し、...
View Article奨学金もらってインドでレコ掘り
土埃にまみれ、山積みにされたSP。 鼠など小動物の糞尿の匂いが 漂ってきそうな写真の数々に、 吐き気を催すか、 うわぁ~と目が釘づけになるかが、 フツーの音楽ファンと、 レコード・マニアの分かれ目でしょうか。 ずしりと重い244ページの写真集に、 CD2枚が付いたCDブック。 インドの骨董屋や倉庫に積み上げられた大量のSPの写真は、 ページをめくるたび、眩暈をおぼえそうな光景の連続で、...
View Articleエチオピアン・ビューティー ハリマ・アブドゥラマン
う~ん、典型的なアムハラ美人ですね。 ハリマ・アブドゥラマン、エチオピアの若手女性歌手です。 主役の名前とアルバム・タイトル、曲目だけはアルファベト表記があるものの、 それ以外はびっしりアムハラ文字で埋め尽くされていて、クレジットが読みとれましぇ~ん。 聴いてみれば、アバガス・キブレワーク・シオタのプロダクションとイッパツでわかる、 打ち込みベースのエチオピアン・コンテンポラリー・サウンド。...
View Articleレンベーティカ・ミーツ・ラグタイム ヨルゴス・ダラーラス
2016年のベスト・アルバム、一番のり~♪ 昨年末にギリシャでリリースされた、ヨルゴス・ダラーラスの新作でっす。 老いを隠せないハリス・アレクシウの歌いぶりにショックを受けたせいか、 ギリシャ歌謡からすっかり遠のいた、今日この頃なんでありますが、 やっぱヨルゴス・ダラーラスは、帝王だわ。さすがです。 歌いぶりこそ、ヴェテランの安定感にウナらされますけれど、...
View Articleライカのアマチュアリズム マノリス・リダキス
ヨルゴス・ダラーラスの新作同様、去年の暮れに出たマノリス・リダキスの新作も大当たり。 う~ん、ひさしぶりにギリシャ歌謡の波が、来てるかも。 ダラーラスに次いでぼくの好きな男性歌手が、マノリス・リダキスなのです。 マノリスもレンベーティカのルーツを受け継いだライカを歌う人で、 ぼくが最初にこの人にホレ込んだのは、92年作の“KARAVI APOPSE TO FILI”。...
View Articleバルカンからアナトリアへ ソフィア・パパゾグルー
ギリシャ歌謡三連チャンの最後は、華ある女性シンガーのアルバム。 ヨルゴス・ダラーラスやグリケリアなどトップ・シンガーたちの眼鏡にかない、 コンサートのコーラス・シンガーとして起用されてきた、ソフィア・パパゾグルー嬢です。 ベルギー、ブリュッセルに生まれ、家族とともにギリシャ、テサロニキへ移住し、 その後6歳の時から歌いはじめたというソフィアは、96年にCDデビューし、...
View Articleタトラ山地の親子トリオ カペラ・マリショフ
ポーランドの伝統音楽って、あんまりよく知らないんですけれど、 昔聴いた、ポーランド南部タトラ山地に暮らすグラル人の伝統音楽が強烈で、 こりゃ、すごいやとノケぞった記憶が、かろうじてあるくらい。 その頃に買ったCDがわずか3枚あるだけで、中欧の音楽はまったく暗いかぎり。 というわけで、「ミュージック・マガジン」の今月号で松山晋也さんが紹介されていた、...
View Article生演奏のフューチャー・ジャズ クリスチャン・スコット
真っ赤なバックに、ユニークな形をしたトラッペットを構えるクリスチャン・スコット。 時代の先端を切り拓く気概が表わされているようなデザインがカッコいい。 ここ二十年くらいのジャズの沈滞は、ジャケットに露骨に表われていて、 えらくコンサバになるか、ECMみたいなファイン・アート偏重になるかの両極端が、 時代とシンクロできていない証拠でもありましたよねえ。...
View Article渡辺香津美の80年代最高傑作
渡辺香津美がジャズ/フュージョン・ギタリストという枠を超え、 野心溢れる音楽家として才能を溢れさせていた80年代の最高傑作が、 『ガネシア』(82)と『MOBO SPLASH』(85)の2作でした。 当時はLPで聴いていたんですけれど、 85年にCDリリースされた時の音質があまりにショボくて、残念でなりませんでした。 今回、渡辺香津美のデビュー45周年を記念して、ユニバーサルミュージックから...
View Article円熟したアンニュイ・ヴォーカル ガブリエラ・アンダース
ガブリエラ・アンダースの新作 !? うわぁ、すんごい、ひさしぶり~。今も歌っていたんだぁ、嬉しいな。 アメリカのボサ・ノーヴァ・ユニット、ベレーザのヴォーカルとして名をあげた彼女ですけど、 ぼくがトリコになったのは、98年のソロ・デビュー作の方。 ボサ・ノーヴァをベースに、ジャズ、ソウル、サルサ、レゲエ、ダブなど、...
View Article故郷カレリアの伝統に立ち返って ヴァルテイナ
ずいぶん聴いてなかったなあ、ヴァルテイナ。 ぼくがこのグループを知ったのは、ご多分にもれず、94年の“AITARA”。 言わずと知れたヴァルティナの代表作で、 フィンランドの伝統音楽を大胆にポップ化した、一大名盤でしたよね。 伝統性をしっかりと保持しながら実験性を高めていくという彼女たちの方向性は、 このあとも続いていくわけなんですが、“AITARA” を凌ぐアルバムは現れませんでした。...
View Articleボッサのあるラパ新世代サンビスタ アルフレード・デル=ペーニョ
ここんところ、若手のサンバにグッとくることがなかったんだけど、この人はいいねえ。 アルフレード・デル=ペーニョ。 ソフトな歌い口の底に、しっかりとした下町のサンバの味が備わっています。 ちょっとした歌い回しに、サンビスタ独特のニュアンスがにじみ出ていて、 こういう<ボッサ>を持ってる人のサンバを聴くと、頬がゆるみますねえ。...
View Articleサンバにアレグリアを取り戻せ アウグスト・マルチンスとクラウジオ・ジョルジ
そうか、メロディが違うのか。そういうことだったのかぁ。 ここ2か月ほど、ずっともやもやしていたことが、 このアルバムを聴いてようやく解消することができました。あ~、すっきりしたぁ。 そのもやもやとは、ロベルタ・サーの新作に対する違和感。 一度は夢中になった人なのに、こういうことを言うのはツラいんですが、 今のロベルタ・サーにはまったく期待をしていません。...
View Articleたおやかなヴェトナム情歌 ルー・アイン・ロアン
ニュ・クインの新作、ちっとも出ませんね。 歌謡ショー「パリ・バイ・ナイト」のステージには立っているようなんだけど、 レコーディングの場からは、ずいぶん長く遠ざかっちゃってます。 ここのところヴェトナムのポップスは、本国のシーンが活発になったせいで、 ニュ・クインなど在外ヴェトナム人の越境シーンは、すっかり影を潜めた感があります。 そんなことをふと思い出したのは、...
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